久しぶりにフィルムカメラを手に入れました。
選んだのは「Nikon 28Ti」。その瞬間から、撮ることへの熱が静かに戻ってきた気がしています。
最近はあまり外に出ることもなく、フィルムからも遠ざかっていたはずなのに——
このカメラを手にしてからは、出かける理由が「撮るために行きたい場所を探す」に変わっていました。
この記事の目次
Nikon 28Tiってどんなカメラ?

1994年発売の高級コンパクト。兄弟機である35Tiとともに、Nikonのフィルムカメラの中でも異色の存在です。
- チタン外装の高級感(少し重いけど、しっかり持てる安心感)
- アナログ表示パネルの渋さと楽しさ(これがたまらない…)
- 一眼レフと同じ“6分割マルチパターン測光”による高精度な露出
見た目は黒のチタンボディにアナログメーター。無骨だけど、妙に品がある。
コンパクトながら一眼レフ譲りの6分割マルチパターン測光を搭載し、露出制御はかなり優秀。
しかも搭載されている28mm F2.8のニッコールレンズは、描写がシャープで色乗りもあっさりしすぎない。
構えて撮るだけで「ちょっと広めに、気持ちよく写る」そんなバランスの良さがあります。
モード切替や露出補正もダイヤル操作で完結。液晶ではなく、針式のパネルで確認できるところもたまりません。
操作系はちょっとクセがありますが、AUTOで撮るだけでも満足度は高いです。
主なスペック

- レンズ:28mm F2.8 ニッコールレンズ
- シャッタースピード:1/500秒まで
- 絞り優先(A)、長時間露出(T)あり
- パノラマ撮影可
- 露出補正やモード切替はカメラ上部のアナログダイヤルから操作
フィルムで撮ることだけを楽しむ時間

Aモードに合わせてただシャッターを切る。それ自体が楽しくて仕方ありません。
例えば朝、家の前で伸びをする猫。
柔らかい光が差し込んだ時間にカメラを構えると、それだけで1枚撮りたくなる。
このカメラは、そんな「撮りたくなる気持ち」を思い出させてくれます。
- モードや設定を気にせず、気軽にシャッターが切れる
- 被写体より「空気感」を撮る感覚に近い
- 撮った後にどう写っているかを想像するワクワク感
- 軽やかな気分で街を歩ける不思議な存在感
たぶん、飽きてきたら絞り優先やTモードも試すと思う。
でもいまは「撮る」だけを楽しむ時期なのかもしれません。
ファーストロール:ポートラ400で鞆の浦へ

1本目のフィルムはPortra400。
鞆の浦をふらりと歩いた、初夏の午後。
潮風がゆるく吹く小道や、海に面した静かな集落のたたずまいが心地よく、ただ歩いているだけで気づけば何枚もシャッターを切っていました。
現像は広島の「山本写真機店」さんに依頼。
ふんわりとしたトーンと、28Tiならではの切れ味のある描写がちょうどよく交わっていて、改めて「このカメラを選んでよかった」と思えました。


»使うたびに感動する写り『Kodak PORTRA400』レビュー
実際に使って感じたこと

たった数日、しかもAモードだけでの使用ですが、それでもこのカメラの良さは伝わってきました。
- まず見た目が最高。黒くて渋くて、でもかわいい。
- レンズが沈胴式なので、出し入れ時に少し音が出るけど、それもまた味。
- 重量はそこそこあります。でもこの重さが“持つ喜び”になる。
- チタン外装の質感、手のひらにずしりと伝わる感じが心地いい。

出先でカメラをバッグから取り出すたびに「よし、これで撮ろう」という気持ちになります。
コンパクトカメラだけど、軽すぎず、存在感がある。
ちょっと贅沢な散歩のお供として、これ以上ない相棒かもしれません。
価格と入手難易度について
中古相場は10万円台後半〜20万円前後。
35Tiと比べても流通数が少なく、状態が良い個体ほどプレミアがついています。
ちなみにONE SCENEでは状態ごとの価格もチェックできますし、MapCameraにも丁寧な解説が載っていて参考になります。
もし初めてフィルムカメラを買うなら、少し高くても整備された個体を選ぶのが安心です。
👉 詳しくはこちら:ONE SCENE製品ページ|MapCamera記事
まとめ|“気ままに撮る”の心地よさをくれるカメラ

このカメラは、設定や描写を極めるためのものではなくて、
「気ままに撮る」ことの豊かさを思い出させてくれる道具だと思っています。

ぼく自身、まだ全然使いこなせていません。
けど、構えたときのワクワクや、仕上がった写真を眺めるときの嬉しさは、十分すぎるほど。
また次の1本を詰めて出かけたくなる、そんな存在です。
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